【質問コーナー】 扶養親族にアルバイト以外の収入がある場合の扶養控除対象となるための方法①

【質問コーナー】

扶養親族にアルバイト以外の収入がある場合の扶養控除対象となるための方法①

 

質問内容

扶養対象となっている子供がアルバイトをしているのですが、それとは別に個人で企業から仕事をもらい、収入を得ることとなりました。アルバイトの収入と企業からの収入の合計額が103万円を超えてしまうのですが、その場合は扶養から外れてしまうのでしょうか。

結論

企業からの収入に関する経費などによっては、扶養対象となる。

また法人設立し、当該法人に企業からの収入を留保することで扶養対象とすることも可能である。

目次

 

  • 1.扶養控除について
  • 2.扶養控除を受けるための要件
  • 3.法人設立による所得削減
  • 4.まとめ

1.扶養控除とは

「扶養控除」とは、扶養する親族がいる場合に、その人数に応じて税負担を軽減する制度です。

具体的には、納税者本人に配偶者や子供がいる場合、納税者の所得から一定金額を控除し、納税者の課税所得を厳格することによって、税負担が軽減されることとなります。

扶養控除額は基本的に38万円となりますが、対象となる扶養者が19歳以上23歳未満の場合には、「特定扶養親族」となり63万円が控除されることとなります。

 

2.扶養控除を受けるための要件とは

1.概要

子供の扶養控除については、以下の4つの要件が必要となります。

1.納税者と生計を一にしている。

2.扶養対象者の年間の合計所得金額が48万円以下である。

3.青色申告者又は白色申告者の専業従事者ではない。

4.配偶者以外の親族等から養育を委託された児童ではない。

今回は、質問の対象となっている、2についての詳細を解説します。

 

2.扶養対象者の年間の合計所得金額が48万円以下である

これは一般的に103万円の壁と言われているもので、扶養対象者がアルバイトなどで103万円を超えた給料をもらうようになると、扶養対象から外れてしまうため、この103万円以内に収まる様に調整して働く必要があります。

この103万円というのは、給与所得であった場合の所得であり、給与所得には55万円の給与所得控除がなされるので、103万円-55万円=48万円ということで、103万円いじょうになると、税務上の扶養から外れてしまうということになります。

今回のように、アルバイト先からの給与のほかに企業からの収入(雑所得か事業所得かという別の論点がありますが、今回は事業所得ということにします。)がある場合、以下のような計算になります。

①給与所得(アルバイト先からの給料の年間総額)

②事業所得(企業からの収入ー必要経費)

とした場合、

①ー55万円+②が48万円を超えるような場合には、扶養から外れてしまうということになります。

 

そのため、扶養に入り続けるためには、主に以下の2つの方法が考えられます。

1.アルバイトや企業からの収入を抑えるとともに、必要経費を大きくして、合計で48万円を超えないようにする。

2.法人を設立し、その法人で企業からの収入を受け取り、法人からは給与や報酬をうけとらないようにする。

 

アルバイトと企業からの収入合計が103万円を少し超える程度であれば、1の方法によって扶養に入り続けることも可能ですが、ある程度金額が超えてしまっている場合には、2の方法をとるしかないので、以下で2の方法についての詳細を解説します。

 

3.法人設立による所得削減

法人を設立し、法人名義で企業から収入を得ると、その収入は個人の所得から切り離されることになります。

そのため、法人に利益を残して法人から個人への報酬を支払わないようにすれば、湖心の所得は増えません。

従って、個人の所得としてはアルバイト先からの収入のみとなりますので、その金額が103万円をこえなければ、引き続き親の扶養に入り続けることが可能です。

 

ただし、注意点として、法人を設立する場合、比較的費用が安い合同会社を設立する場合であっても、設立するために10万円程度、また、法人の利益に関わらず外形標準課税として年間7万円(注)、そのほか、法人税や住民税が発生します。さらに、法人で獲得した利益を個人に移す必要がありますが、その際には個人に所得税がかかります。

これらを総合的に勘案して、法人設立が良いか、扶養から外れて個人で所得税を納めるほうが良いかを検討する必要があります。

 

(注)合同会社の外形標準課税の7万円は最も小さい規模の会社の場合。規模が大きくなれば増加するが、法人からの報酬の受け皿程度の規模であれば7万円の規模になると思います。

 

4.まとめ

法人を設立するほうが良いか、扶養から外れるほうがよいかは、場合によって異なりますので、都度検証が必要です。

次の記事で具体的な状況を基にシュミレーションしてみますので、参考になれば幸いです。